2015/1/22実施 3種の田中光学タナーレンズ 描写テスト
(The lens test of 3 Tanar lenses)

田中光学がライカのコピー機であるタナックを発売したのが1953年。そして倒産するのが1959年ですので、ライカマウントでの活動期間はわずか6-7年という短さです。
にもかかわらず、非常に多種の50mm標準レンズを供給しました。

@f3.5、Af2.8、Bf2.0、Cf1.9、Df1.8、Ef1.5、F(f1.2)の7種類にもなります。(正規販売記録のないf1.2を含む)

レンズ構成は、f3.5とf2.8が「テッサー型」、f2.0、f1.9、f1.8、f1.5が「ゾナー型」、(f1.2は不明?) となります。

今回は現在手元にある、f1.5、f1.8、f2.0の3本の「ゾナー型」レンズの描写を、主にそのボケ味を中心に比較してみました。
Tanar 5cm f1.5 Tanar 5cm f1.8 Tanar 5cm f2.0
     
 
 
画像@
photo @
開放全体画像
Full Aperture
拡大画像
Partial Enlargement

3本とも基本構成は「ゾナー」ですので、全体画像では、良く似
た画像となっています。
大口径にもかかわらず非常に小型であるf1.5は、さすがに周辺部の光量の低下が、他の2本よりも顕著です。

拡大画像ではそれぞれのボケの特徴が見られます。
 @f1.5レンズは非常にやわらかく、ニュートラルなボケ味を見せてくれています。
 Af1.8レンズのボケは、正体不明。ボケというよりも、画像全体が崩れだしているような、とてもユニークな印象を与えてくれます。
 Bf2.0レンズのボケは、近代的なボケ味です。球面収差の補正に伴う2線ボケの傾向がそこそこ現れており、若干固めの、ただし安心感のあるボケ方だと思います。。

画像A
photo A
開放全体画像
Full Aperture
拡大画像
Partial Enlargement

全体画像では、f2.0レンズのシャープな描写が際立っています。
それと相対する描写がf1.8で、ハイライト部分の滲み・ハロが強いとともに、ピント部分でさえ「不安定な画像の動き」のようなものを感じさせます。
f1.5はその中間的な描写ともいえます。

周辺部拡大画像では、光源ボケの輪の形に注目してください。
 @f1.5レンズは、多少輪郭に光の輪が見えますが、程度は低く、バランスの取れたやや弱めの収差補正のようです。
 A2.0は、輪郭がハッキリとした光の輪が出ています。強めの補正による2線ボケですが、その分ピント部分のシャープさを確保しているといえます。
 B難しいのはf1.8レンズのボケで、なんとぎざぎざの「ギア」のような形を示しています。
  原因はわかりませんが、ボケを大きく拡大して見ると、多くの収差の組み合わせに加え、色収差も強めに現れており、外側の濃いブルーの輪の作用で、全体をギザギザな形にしているようにも見えます。
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画像B
photo B
開放全体画像
Full Aperture
拡大画像
Partial Enlargement

全体画像、拡大画像ともにf1.5とf2.0はピント部分がシャープな類似した印象の画像であるのに対し、f1.8は異質な写りになっています。
f1.8レンズも基本構成は他と同じゾナータイプですが、補正後の球面収差の残存度に根本的な差異があるようです。
ポートレートなどには向いた味付けかもしれません。

それにしても、「ヨタハチ」はかわいらしくて、精悍で、素晴らしいデザインの車ですね。